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免疫抑制を克服した治療法

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がん細胞の巧妙なトリック

医療機関の検査でがんが発見されるまでには、1個のがん細胞が分裂に分裂を繰り返すのに5年から20年もの年月を費やします。がんはそれだけ成長するのに時間がかかるわけですが、この間には免疫細胞との戦いを制してきた歴史があるのです。本来は免疫細胞によって滅ぼされるはずだったがん細胞が、その攻撃をかわして生き残ったことには1つの戦略が見られます。それは免疫細胞を騙すための巧妙なトリックです。遺伝子コピーのミスで体内に発生したがん細胞は、通常ならキラーT細胞という攻撃部隊が速やかに片付けてくれるものです。大きながん組織にまで増殖できたがん細胞は、このキラーT細胞を騙して相手の攻撃を無力化するだけの防御装置を持っています。がん細胞の持つPD-L1と呼ばれる特殊なたんぱく質がキラーT細胞のPD-1というたんぱく質に結びついてしまい、攻撃できなくさせるのです。がん免疫療法は第4のがん治療として注目を集めていきました。しかしながら免疫細胞の攻撃を弱めるがん細胞に対しては、免疫力を強化しても十分な成果を挙げられずにいた面があります。この問題を解決する鍵は、がん細胞のトリックを見破ることにかかっていたのです。

トリック見破り免疫活性化

こうしたがん細胞のトリックが近年になって見破られ、新しいがん免疫療法が誕生しました。それが免疫チェックポイント阻害剤を使う治療法です。この新しい薬剤は、キラーT細胞の持つPD-1と結びつくことによって免疫ブレーキを解除させます。PD-1があらかじめ塞がれてしまえば、がん細胞もPD-L1という奥の手が使えなくなり窮地に陥るのです。この免疫チェックポイント阻害剤は開発されたばかりの新しいがん免疫療法ですが、すでに一部の医療機関では導入されています。皮膚がんの一種に属する黒色腫では標準治療として認められました。肺がんや腎臓がんに対しても、約30%の患者でがん細胞が縮小または消失したという実験報告があります。今後さらに臨床実験が積み重ねられることで、他のがんに対しても適用されるものと期待されます。免疫チェックポイント阻害剤の登場によって、免疫療法も新しい時代に入りました。免疫細胞を活性化させるという従来のアクセル療法ばかりではなく、時にはブレーキを解除させるという逆転の発想も有効です。こうした免疫療法によって、手術での治療が難しい末期がんでも高い延命効果が得られるようになるのです。